14.7. 多様な生物の分類
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体系学 systematics
生物を分類して、進化関係を決めることに焦点を当てた生物学の分野
種の認識、命名、分類を行う分類学 taxonomyを含有する
分類学の基本知識
種に学名をつけることは、分類学の重要な役割
承認された正式な命名法を用いることにより、科学者の間でコミュニケーションが容易になる
研究者が明白に生物を特定することができ、新種が発見されたとき、それを認識するのがより簡単になるため
分類学のシステムはカール・リンネ Carolus Linnaeusに遡る
2つの主要な特徴
種の二名法
種をより広範な群へと分類する階層的分類法
種の命名
二名法 binomial
最初の部分は種が所属する属 genus(複数形はgenera)
第二の部分は、種ごとにユニーク
2つの名前は、種の名前を使用するときに一緒に用いなければならない
たとえばヒョウの学名はPanthera pardus
二名法の名前全体がイタリック体にされて、ラテン語化されることに注意
Homo spiensは「賢い人」を意味する
階層的分類
種を命名することに加えて、体系学の大きな目的は、順序だった階層カテゴリーに、種をグルーピングすること
階層的分類の第1段階は二名法に組み込まれている
密接に関係がある種は同じ俗に集められる
ヒョウ Panthera pardusは、ライオン Panthera leo, トラ Panthera tigris, ジャガー Panthera oncaという3種を含む属に入れられている
少なくとも概念において、種のグルーピングは、我々にとって自然
樫と呼んでいるいくつかの樹木をひとまとめにして、他の楓とよばれている種とは見分けている
実際、樫と楓は別々の属に属している
属への種のグルーピングを超えて、分類学ではより幅広い分類カテゴリーの採用に及んでいる
科 family
目 order
綱 class
門 phylum
界 kingdom
ドメイン domain
分類と系統
ダーウィン以来、体系学者は単純な構成以上に「分類には進化的関係を反映させる」という目標を反映させた
分類法は、進化的な生命の樹の中での位置を反映しなければならない
系統樹 phylogenetic tree
種の進化の歴史についての仮説を表す分岐図
各々の分岐点が共通祖先からの2つの系統の分化を示す
相同と相似の識別
相同構造は、系統関係についての最もよい情報源の1つ
異なる種の相同構造は形や機能の点で異なるかもしれないが、共通祖先の同じ構造から進化したため、基本的な類似点を示す
クジラの前肢は水中で操縦するように適応している
コウモリの翼は飛行に適応している
2種間の相同構造の数が大きいほど、種はより近縁である
相同形質を探すときには落とし穴がある
似たものすべてが共通祖先から受け継がれているわけではない
収斂進化 convergent evolution
異なった進化系統の種において、自然選択により類似した適応が形づくられる
相似 anology
収斂進化による類似性
昆虫の翅と鳥の翼は、類似した飛行装置だが、独立に進化した全く異なる構造からできている
系統樹を構築し、進化の歴史により生物を分類するためには、相同な類似点のみを使わなければならない
適応は相同を覆い隠すこともある
収斂により、紛らわしい類似点が作られることがある
2種の初期成長を比較することにより、しばしば成熟した構造では明らかでない相同を見つけることができる
相同と相似を区別する別の手がかりがある
2つの類似した複雑な構造は、独立して進化した可能性が低い
ヒトとチンパンジーの頭は、多くの骨が融合したものであるが、領主での骨と骨の対応はほとんど完全に合う
これほど多くが詳細に対応する複雑な構造物が別々の起源をもつことはありそうもない
体系学の道具としての分子生物学
相同が共通祖先を反映するならば、生物の遺伝子と遺伝子産物(タンパク質)を比較することにより、進化関係の核心に迫ることが可能になる
DNA塩基配列は遺伝し、タンパク質の対応するアミノ酸配列をプログラムする
分子レベルでは、種の進化的分化の程度は、ゲノム内に蓄積された差異に対応する
2種がより最近共通祖先から分岐したほど、DNAとアミノ酸配列はより類似している
今日、多くのタンパク質のアミノ酸配列と急速に数が増加しているゲノム塩基配列はデータベース化され、インターネットで利用可能
最も基本レベルでの相同を捜す目的でこれらのデータベースを利用することが可能となり、体系学の発展を促した
分子体系学は、種の系統についての仮説を検証する新しい方法を提供する
そのような仮説の最も強い支持は、分子データと解剖学的な相同評価や化石記録の分析など、他の系統をたどる手法結果との一致
ある化石では、DNA断片が原生生物と比較するために抽出可能な状態で保存される
分岐学革命
体系学は、1960年代に新しい発展時代に入った
分子学的手法
新たなデータ解析を可能にするコンピュータ技術の発達
分岐学 cladistics
クレードの科学的な探索
クレード clade
祖先種とそのすべての子孫種により構成され、生命の樹の中で独自の枝を形成する
クレードの認識は、種間あるいはより高次分類群間に独特の相同を確認することが必要
分岐学では、内群を外群と比較することが必要
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内群は実際に分析されている分類学的集団
外群は分析されている群を含む系統群より前に分岐したことが知られている種あるいは種群
内群のメンバーをたがいに、あるいは外群と比較することによって、何により内群と外群を区別できるかを決めることができる
内群のすべての哺乳類は、毛と乳腺をもつ
これらは、祖先の哺乳類で存在したが、外群にはない
しかし、母親の体内の子宮で子どもを育てる妊娠はカモノハシには欠けている
このことから、カモノハシが、哺乳類のクレードにおける初期の分岐点を表すと推測することができる
各々の枝は、共通祖先から分化した
それぞれが1つ以上の新しい特徴をもつ群を表す
分岐の順序は、進化の順序とそれぞれの群が最後に共通祖先を共有した時期を表している
言い換えると、分岐学は進化における分岐点を定める変化に焦点をあてる
クレードの認識により、進化の分岐パターンを反映する分類体系を作る事が可能
分岐学は、体系学で最も広く使われる手法になった
このアプローチは、他の分類学の方法では必ずしも明らかでなかった進化関係をはっきりさせる
たとえば、生物学者は伝統的に鳥類と爬虫類を脊椎動物の別の綱に分類した(鳥綱と爬虫綱)
しかし、この分類は分岐学とは矛盾する
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相同形質を調べると、鳥とワニが1つのクレードをつくることが示される
そして、トカゲとヘビはもう1つのクレードを形成する
単独のクレードをつくるために、ワニがトカゲやヘビと祖先を共有するまでさかのぼるならば、爬虫綱には鳥類も含めなければならない
分類 : 発展中の未完成品
系統樹は、進化の歴史についての仮説
すべての仮説のように、新しい証拠に基づいて修正される
分子体系学と分岐学の組み合わせにより再構築された系統樹は、伝統的な分類に疑問を呈した
二界説
リンネはすべての既知の生物を植物界と動物界に分類した
200年以上にわたり、生物学で普及
五界説
すべての原核生物を1つの界に置き、真核生物を4つの界にわける
1900年代中頃に二界説に取って代わった
3ドメイン体系 three-domain system
1900年代の終りに分子研究と分子学により五界説に取って代わった
真正細菌(バクテリア)と古細菌(アーキア)という2つの原核生物のドメインと、真核生物ドメインという三つの基本的な群が認識されている
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真正細菌と古細菌は、多くの重要な構造的、生化学的、機能的な特徴において異なる
真核生物ドメインはさらに界に分割される
しかし、界の正確な数についてはまだ議論中
一般に生物学者は、植物界、菌界と動物界の区分については同意する
これらの界は、構造、発生と栄養取得方法において異なる多細胞真核生物からなる
植物は光合成によって自らの食物を得る
菌類は、他の生物の遺体を腐敗させ、小さな有機分子を吸収して生きている
大部分の動物は、食物を摂取して、体内でそれを消化することによって生活する
残りの真核生物(原生生物)は、事実上、植物、菌、または動物の定義にあわないものすべてが含まれる分類学のゴミ箱である
大部分の原生生物は、単細胞である(たとえばアメーバ)
しかし、原生生物にも、単細胞原生生物の直径子孫であると思われる大きな多細胞生物が含まれる
たとえば、多くの生物学者は、植物よりも単細胞藻類に密接な関係を有するため、海藻を原生生物に分類する
地球の多様な種の分類は、生物とその進化について解明していく進行中の作業であると考えることが重要
チャールズ・ダーウィン Charles Darwin「我々の分類は、生物がどのようにつくられていったのかという意味では、系図学になる」
→14.8. 進化との関連 : 哺乳類の出現